
急激な水温変化は注意
金魚飼育において、急激に水温が変化する時期は気が抜けません。
金魚は変温動物なので、水温がそのまま活性度に反映します。
そして、水温の急激な変化は金魚の体力をうばってしまうため、あまり続くと体調を崩してしまい白点病、転覆病等の病気になってしまうこともしばしばです。
特に水温の上昇よりも低下に弱いため秋から冬にかけては気を抜けません。
深夜から明け方にかけても急激に水温が低下するため、病魚を治療中ならば危険な時間帯になります。
温度の下げ方(15℃まで)

上述のように水温は上げる時よりも、下げる時の方が金魚の負担を与えます。
できるだけ時間をかけてゆっくり下げた方が金魚へのダメージは少なくなりますので、1日1℃ずつ下げるのが良いです。
この際、温度可変式ヒーターを使用すれば安全に水温下げることができます。
一般的な温度可変式ヒーターの場合15℃以上の水温調整が可能となっているため、目盛りを調節することで15℃まで安全に水温を下げることが可能です。
しかし温度可変式ヒーターの他に温度固定型オートヒーターもあり、こちらは25℃前後を維持するだけで水温の調整ができません。
水槽の温度を調節したいと考えている場合は必ず変温式のヒーターを購入しましょう。
15℃以下にする場合
一般的な水槽用ヒーター(温度可変式)は15℃以上で設定されているためそれ以下にはできません。
水温低下グッズとして冷却ファンもあり、これは水槽の水を蒸発させ気化熱を利用することで水温を下げます。
しかし蒸発した水が減ってしまい差し水必須ですし、下げられるのもせいぜい2~4℃です。
何よりも温度設定できるタイプではないので1日に1℃ずつ下げるのは不可能です。
あくまでも冷却ファンは高温(28度以上)防止目的で使用するのが良いでしょう。
また、冷却ファンが全力が回転する音はなかなかうるさいので、どこでも使用わけではありません。
15℃以下にするならば水槽用クーラーを使用するのがベストです。
かなり高額、水槽以外の設置場所確保、排熱のため通風性の確保等、設置するまでのハードルは高いですがもっとも頼りになるグッズです。
さまざまな種類がありますが、クーラー自体にヒーターを取り付けられるタイプも多いため水温調整が簡単にできます。
クーラーもヒーターも大変便利なグッズですが、機械である以上壊れる可能性があります。
最悪な事故にならないよう、正しい使い方と定期的なメンテナンスを心掛けてください。
下げ方の手順
それでは実際に水温を下げる過程を説明します。
今回は以下の条件を想定して下げる手順を解説します。
- 冬
- 屋内飼育
- 室温は10℃以下
- ヒーター使用中(現在20℃設定)
- 目標温度5℃
15℃までは「1日1℃ずつ」を目標にゆっくりヒーターの設定を利用して水温を下げていきます。
この場合5日かけて5℃下げます。
クーラーを使用する場合も1日1℃ずつを徹底してください。
最終目標である5℃まで下げるのに合計15日かかりますが、金魚に負担をかけない方法としてはこれがベストです。
一気に水温を下げ、万が一金魚を病気にしてしまえばそれだけ治療期間が必要になりますので、あせらずに取り組んでください。
下げたあとの温度維持
下がった水温を維持するにも工夫が必要です。
地域によって変わりますが、冬場で暖房を使用していなければクーラーやヒーターを使用せずとも低温を維持できるでしょう。
ただし「エアコンを使用した部屋に隣接している」「よく日が差し込む」等、室内の温度変化が激しい環境ならばクーラー等を設定しておいた方が無難です。
水温低下作業は日数がかかるため、室内温度が目標水温にまで下がった時期から開始するのがおすすめです。
安全な金魚飼育において天候・水温・餌の量等の管理は必須で、日々のチェックを欠かさず、最適な時期を見極めましょう。
温度の上げ方
水温を上げる場合は上記の方法と逆になります。
15℃までは水槽用クーラーを使用し、15℃以上はヒーターを使用して水温を上げていきます。
この場合も「1日1℃ずつ」がおすすめですが、金魚は水温低下に比べて水温上昇には少し耐性があります。
1日2℃ずつぐらいならば負担は少ないと考えますが、大事をとって12時間ごとに1℃ずつ上げていきましょう。
食欲がない、じっとしている、エラが動いていない等おかしな素振りが見られたらすみやかに水温を上げるのを止めましょう。
春・秋の水温維持
水温が激しく乱高下する春と秋にはヒーターを設置して置く方が無難です。
春と秋は気温の変化が激しく、1日で10℃以上変動する日も多々あります。
水量等の飼育環境にもよりますが、この時期には水温が1日で5℃以上変動する日もあり金魚も疲れがたまります。
また、この時期は台風等で低気圧が発生し、急激な水温と気圧の変化はカラムナリスやエロモナスを活性化させます。
温度変化による疲れがたまったところに活性化した病原菌が襲いかかれば、あっというまに病気になってしまいます。
朝は元気に餌を食べていた金魚が夜帰宅すると瀕死状態に、ということも十分にあり得ます。
人ですら体調を崩しやすい時期ですので、ヒーター等を活用して水温管理を行い金魚の調子を崩さないよう努めてください。
ヒーターやクーラーなしの場合
金魚を飼育している人の中には、ヒーターやクーラー無しで管理している方々もいます。
「気候の変化に順応することで健康で美しい金魚はつくられる」といった様々な意見がありますが、リクスはかなり高いです。
水温変化への耐性は個体の強さに依存しています。
たしかに強い金魚は生き残りますが、弱い金魚は生き残れません。
品評会を目標とする一部のブリーダーでなければ、愛着のある金魚が弱っていく様子を見ているのはつらいものです。
また、低温環境に慣れていない外国産(タイ、中国等)の金魚が市場に出回っている現在、水温調整可能な飼育環境を整えておくのは、これからの金魚飼育者にとって義務ではないでしょうか。
最低限の温度対策を

どうしてもヒーターやクーラーが入手できないようならば代行手段をとってください。
段ボールや断熱材で水槽を囲めば急激な水温変化を防ぐことが可能ですし、エアコン等で多少の水温調整も可能です。
その他、照明を消す、カーテンなどで遮光する、水槽の蓋をあける、換気を良くする、エアレーションを強める、といった方法でも少しは水温調整が可能です。
金魚が★になってしまうという最悪の結果を招いてしまう前に、できることはすべて行いましょう。